2005年01月30日

アウトロー交戦記 第三回(寄稿:前原龍彦)

 更新が、大変遅れて申し訳ない。前原です。

 さて、この間、何をしていたかと言うと、これがお見合い行為などしていたり。

 少し面白いと思ったので描いてみると、きっかけは私にお客を運んでくる若い女の子から、数ヶ月前に連絡があった事にさかのぼる。

「あのさ、今の会社の同僚が、ストーカーになやんでいるんだけど」

 彼女は私がこういう仕事をしている事を知っている数少ない人間で、勤め先のAV製作会社の女性や、悪い男に引っ掛かっている女子大生を私の所に連れてくる。前原十字軍の受付みたいなもんだ。

 とりあえず、私は事情を聞き、見積もり予算を先方に伝えてくれるように頼む。ここはこの手の事件で、もっとも重要なところだ。大抵の依頼は、この段階で、消える。

 いや、消すために言っているようなもんだ。正直、多くのケースは、依頼人に問題があったり、本気じゃなかったりする事が多い。だから少し高いけど、払えなくは無いくらいの金額を請求する事で、相手の本気度を計り、こちらとの信頼関係を築こうとしている。

 もし依頼人に被害を与えてるとやらの相手を、こっそり車道に突き落としたりしてから、あとからぺらぺら喋られても困るし、「やっぱいいや」程度の困り方をしている相手のために、そこまでやる気は無い。

 それに、自分自身へのルールでもある。いくら自分が倫理的に許せないと思っても、個人的な感情で誰かを侵す訳にはいかない。あくまで被害者から依頼があって、それを実行する、という体裁を踏まないと、自分自身が何かを見失ってしまう。

「自分に関係ない悪を、探し出してやっつける」と言うのは、もはや私が考える義じゃあない。ただの八つ当たりだ。

 まぁ、その時のケースも、金額を言って以来音沙汰なし。また、いつものパターンか、と忘れかけてた頃、「私の友達で、彼氏欲しいって言ってる人がいるんだけど、会わない?」って事になったわけだ。

「へぇ、どんな人?」

「こないだの人」

 おいおい、それって、踏み倒しって奴じゃないのかい? こんな考え方をするのは、心がねじくれてる証拠か。

 結局、事前に私の写真を見た彼女は「やっぱいいや」ってな訳で、お見合いは立ち消え。ほら、顔面初段。

 で、そんな眼力が今までに対戦してきた中から、面白い事例を挙げてみよう。


1・VS空手師範

 それは私がまだ、修行のために道場破りなんかをしてた頃のお話。

 道場破りって言っても、伝統的なやり方がある。まずは頭を下げて、「体験させてください」と言って練習に参加し、お互いを探った後で、スパーリングの時間になって、「では、腕前を見せてもらおう」と心の中で思いながら、ニコニコ笑って「練習試合」をするのだ。

 さて、この場合、お互いに有利な点と不利な点がある。攻め手からすれば、相手の手の内を探れている事は有利。相手が大人数であり、相手のルールで仕合わなければならない事は不利だ。

 その道場の空手は、幾つかの形式で試合をするタイプの物で、いわゆる新空手などといわれる、キックボクシングの団体に加盟している流派だった。

 だから、スパーリングにも何段階かのルールがある。寸止め、ライト・コンタクト、顔面のみ寸止めのフルコンタクト、ヘッドギアやグローブをつけての顔面ありルール。

 始めにやったのは、ライトコンタクトのスパーなんだけど、これが実に厄介だ。どこが悩みのタネかと言うと、効いても無い突きや、当りもしない蹴りが、相手の中では「一本」って事になってしまうことだ。

 最悪、一方的に思い込みが強い方がこの手合わせでは勝った気持になれる。

 相手の師範はその手のタイプだったらしく、自信満々で手足を振り回している。

 やむなし、私は相手が突いてくれば引っ掛けて崩し、足を出すたびに軸足を払ってはひっくり返した。

 尻餅を突かせて上から極めの突き。これを繰り返して試合終了。終わったときに相手は言った物。

「いや、かなりやっているようですが、もっと技の種類を増やせば強くなるでしょう」

 いやいや、対面を保つのも大変なようで。


 今回、少し近況を長く書き過ぎてしまった。次の仕合については、また次回。

(※2004年2月26日分より転載)
posted by 久遠 at 22:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | アウトロー通信
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