2005年02月09日

アウトロー交戦記 第四回(寄稿:前原龍彦)

 さて、某コングロマリッド式空手道場に乗り込んでいったときのてん末を今回。


 前回道場破りに行った空手道場、武器術はもちろん、キックボクシングから柔術のクラスまである大規模組織だった。

 前回の後、私は別の支部も回ってみた。同じ道場とは言え、支部長ごとに個性がある。女性や子供が多いところもあれば、いかにもな感じの男部屋ってとこもある。

 女性の指導員がいた道場では「突きの型が変」と言う感覚的な注意をされたことがある。その後、全日本選手の若い支部長をボコボコにしてからは、一切目を合わせてくれなかった。


 一番苦戦して、かつ面白かったのは、武闘派ぞろいの支部だった。

 すでにそこの道場を回って顔を知られていた私、最初に当ってきたのは、いかにも俊敏な、高校三年は甲子園を目差してましたってような黒帯だった。

 ルールはフルコンスタイル。顔面無しのスパーだ。

 このルール、実は意外に小さい空手家が強い。投げも顔面パンチも無しで、チョコチョコつっつきあうような場合、でかい方が翻弄される事すらある。

 これはなぜかって言うと、接近戦の戦いだからだ。ちっちゃい奴の手足が届く距離だと、でかい方は懐に入られてるんで、相手を打てない。なんという初歩的なトリック!!

 得てして、このルールに慣れてない人間が相手の顔を殴っちゃうのは、その苛立ちがあるのだろう。

 で私も見事にその例にはまった。当時、私は172センチで62キロ。でかくは無いが、腕が長かった。私の前腕は膝につくほど長い。接近戦で相手を突こうとすると……は! 相手の後ろに拳がある。。。

 だもんであたしゃメタメタに打たれる蹴られる。もっとも、前面の筋肉で受けてるので突きは効かない。でも蹴りがね、下段をペシペシ繰り返されるといいかげん効いてくる。

 で、どうしたかって言うと膝だ。前足の膝で胃袋を突き刺した。これで一撃。


 危きを脱した私の次の相手は、白帯を閉めたアンコ型だった。で、これがどうやら隠し玉だったらしい。実はこの人、最近道場に来た柔道二段。いわば用心棒みたいな使い方だ。

 彼とは防具付きの顔面ルールだ。この場合、でかくて力がある奴は強い。一発一発が必殺の威力を持ってる。うっかりカウンターが顔に入れば、首がグキだ。

 そこで私が使ったのは、トラッピングというテクニックだ。これは相手の手に張り付いて、相手からは打てないようにし、自分は打つ。そして隙を突いて相手の両腕を絡めちゃったりするテクニックだ。

 このある種のハメ技、最初の一回目は大抵の人間が対処できない。とまどってる間に滅多打ちだ。

 処が防具ありの上、相手がでかいと、いくら殴っても相手は前に出てくる。殴りも殴ったりでも、中々効かないんだこれが。

 とはいえこのままでは悪いと思ったらしく、いきなり相手は奥襟を掴んで腰を入れてきた。明らかに投げだ。

 とっさに相手の肩にタップをしたが、止まる気配はない。これが道場破りの難しいところで、いくら約束とは違うと言っても、相手に負けたところで終わられたらお終いなのだ。

 床にはマットも畳もしいてない。頭から行けばイチコロの硬さだ。

 私は跳んだ。自分からわざと投げられたのだ。

 そして受身を取り、すばやく立ち上がって相手に向かって掛かって行った。

 ここで時間切れ。「投げは効かなかったよ」のアピールで痛み訳か。


 その後の最後。最初に倒した奴の兄貴分が、怒りに震えた顔で出てきた。防具の中で。

 そしてその防具は、キャッチャーマスクのような、金属製の物だった。。。

 いや、こりゃあまいったさ。そりゃあ殴れないよ。結局最後は逃げ切るだけに終わったのでした。

 道場破りらしいてん末でしたとさ。

(※2004年3月9日分より転載)
posted by 久遠 at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | アウトロー通信
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