2005年02月12日

アウトロー武芸帖 第一回(寄稿:前原龍彦)

 目だ! 目を狙え!!


 やあ、度々の更新の遅れ申し訳ない。

 実は沖縄に少しばかり旅立っていた。

 バイクで本島を一周したりして見聞を広めたんだが、それにしても空手が盛んなのを実感した。

 街を歩けば空手、観光地で空手、テレビのローカルCMでは空手。


 残念ながら道場破りする体力をなくしてしまった今の私が言うのもなんだが、素直な感想として、空手は強くない。

 武術としてはともかく、現在格闘技の中では空手が仕合で他流に勝つというのは決して多くないケースだ。

 島津藩が侵略して、中華の辺境、琉球王国を支配、刀狩りを行なったために空手は発展したと言う。

 中国の拳法を取り入れ、独自に発展した形だと言うが同時に、「空手は実戦を経ていない」という有名空手師範の言葉もある。

 明治に入って本土に渡り、柔術家の改変を経て空手道と化した訳だが、その後もまた、寸止め派、防具派、フルコンタクト派、グローブ派、果てはバーリ・トゥード派などに分かれている。

 これは、もしかして、空手はまだ進化の途中なのではないだろうか? タイ式やボクシングを取り入れ、順調に進化しているように思える。

 ある意味、順調なスポーツ格闘技としての進化だ。


 だが、武術としてはどうだろうか? 本土に渡って以降、空手は本当に強くなっているのだろうか?

 イタズラな伝統礼賛ではないけれど、古流の空手(琉球手)が弱いとは、どうしても思えないのだ。

 なにしろ、琉球王国は中華皇帝の庇護領なのだ。つまりは中国拳法だ。

 誤解されがちだが、本当の中国拳法は弱くない。飛んだり跳ねたりもしないし無駄にパタパタ手足を振り回したりもしない。

 型は身体能力と技を練るための練習の一つ。実際は鍛え上げた必殺の一撃を地味に放ってくる。

 カマキリのまねをする蟷螂拳も、あのカマの手は地味に目玉や喉仏をつついてくるのだ。もし、ボクサーのジャブばりの速さで目を突いて来たら、一体誰がよけられるだろう?

 ジャブの速さは目に見えないと言うが、文字通りそれきり目が見えなくなるのだ。少なくとも、しばらくは。

 そう、古流の空手でも、全ての突きは眼球を狙い、全ての蹴りは股間を狙っていると言う。現代格闘技の常識に侵されると、ローキックや掌低打ちが実践的だと勘違いしがちだが、それこそ世間知らずもいいところだ。


 本当の実戦は、古伝の型にある気がする。

 柔術の型は全て目打ちから始まり、視界を失った相手を投げ飛ばしては押さえつける。合気道の型もまた、元は目打ちがあったのを省いたのだそうだ。

 実戦を考えるなら、狙いは目だ。小手を捻ったりする護身術に惑わされるな、本当は目だ! いざとなったら、ひたすらのラッシュで相手の目を殴りつけろ!

 いや、私も何度も殴られたし殴った。アレをもらうと、本当に万華鏡のように相手が綺麗にぶれて分身して見えるのだ。

 そうやって距離感を奪ったところで、金的蹴り、さらなる眼球攻撃のラッシュだ。

 目への攻撃を受けると、人間は本能的に瞼を閉じて守ろうとする。そこもねらい目だ。目をつぶっている相手からは、金的蹴りを取るのも逃げるのも容易なはずだ、少なくとも目が見える相手よりは。

 そういう生理反応を利用する所に、武術の実戦性、そして深みがあると思うのだよ、私は。

(※2004年4月15日分より転載)
posted by 久遠 at 21:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | アウトロー通信
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