いや、実に半年以上ぶりの更新になる。その間、何をしていたか? 戦っていたのだ。
相変らず、万引きハンターこと私服保安員をしていたのだが、この仕事、実に色々な敵が居る。目の前の盗人Sだけじゃあないのだ。
例えばマニュアルには、災害時の誘導が指導されている。恐らく、営業の人がこう言っているのだろう。「うちの隊員がいれば、地震や火事の対策にもなりますよ」
そして、本当に起きてしまったのだ、火事が。
今回の敵は、火事だ。これは怖い。なにせ防御も攻撃も効かないのだ。出来るのは回避する事だけ。
だが、それでも戦わないとならない人間がいる。カート・ラッセルと私だ。
なにせ、今回燃えたのは立体駐車場にある自動車だ。何がどうなっているのかは分からない。だが、とにかく私が店舗三階の休憩室から出た処で、向かいになる建物の中で、ハイエースが爆発したのだ。
反射的に走った。なにせ運転席にはドライバーが乗っていたのだ。
まずは制服警備員詰め所に走り、事態を報告。これで彼らが何とかしてくれるはずだ。
と思ったのもつかの間、もうもうと上がる白煙を見上げて、ニヤニヤするばかりでなんの役にもたちゃしない。
えぇい、時間が無いわ! 走ったね。すぐさま立体駐車場に乗り込んだんだけど、階段からフロアに上がった途端、物凄い煙だ。真っ白。まるで霧だ。
どこに車があるかさえ分からない煙幕の中、それでも車の方に飛び込んだ。
途端に視界が消失した。すごい、他の煙とはまったく密度が違うのだ。誇張抜きで、伸ばした腕の先が見えない。
更に、見る見る酸素がなくなってくる。これは凄かった。灰の中に酸素があれば大丈夫だと思って、空気を沢山吸い込んでから飛びこんだんだが、まったく無関係に脳が勝手に酸欠になってゆくのだ。
恐らく、一酸化炭素とか何かガスの類が、体内に侵入して脳を犯していっているのだろう。真っ白から真っ黒に視界がブラックアウトしてゆく。そう、かってしったる、締められて落ちるときの感覚だ。
やばい! とっさに逃げる事も考えたが、目の前には、運転席で倒れている人の姿が浮かぶ。
真っ白な視界。辺りからはボンボンと段発的に爆発音。そして消えていく酸素。ちょっとした地獄だ。
そんな絶体絶命の中、頭に浮かんだのは、小学生の時の火災訓練。押さない、かけない、喋らない。そして口にハンカチを当てて、姿勢を低くしましょう。
とっさにシャツを脱ぎ、口元に当てた。これが驚くほど効いた。有毒ガスが入ってこなくなったのだ。
おかげで何とか、被災者を救う事ができた。良かった良かった。
次の日、たっぷり毒を吸ったせいかひどく気分が悪かったが、とりあえずは良かった。
ちなみに、報告をした後の会社の対応は、「火事? そんなんで二次災害になったら労災が大変だろうが。ほっとけよ!」
経営者のみなさーーーん!! 制服も私服も、警備員なんて火事の時には役にたちませんよーーーーーーー!!!!!
(※2004年11月21日分より転載)
2005年02月17日
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