2005年02月19日

アウトロー交戦記 第六回(寄稿:前原龍彦)

 よう、前原だ。テレビをつけりゃあ嫌なニュースばっかりだな。


 暴力ってのがもし、一方的に用いられた場合、そいつは常に生きてることその物を汚される。

 だがもし、暴力に抵抗できる暴力を持ったなら、やっぱり人生は汚れる気がする。つまり生き延びるなら、汚れていくしかねぇんじゃあねえか?

 必要最低限の暴力を咀嚼できるならそれでいい。だが、どうやら、暴力には人をひきつける魔力があるらしい。


 制服来た警備員が居たと思ってくれ。

 そうだ。で、そいつが、私と同じ現場に居た。ガラの悪い地域に建ってるホームセンターだ。チンケな話だよ。

 ケダモノ同士が出会っちまったらやる事は決まってる。見えない振りして通り過ぎるか、それとも白黒つけるかよ。

 結局、やりあうことになった。相手は少林寺やら太極拳やら長年やってるって話だ。

 それでも、残念だが、本物の柔に勝てる奴ってのぁいねぇんだ。

 決着つけるのに選んだ三階の踊り場で、奴ぁ逆様にぶら下がる事になった。

「どれだけ威力を出す力を得ようが、どれだけ打たれ強くなろうが、三階から落ちるのにはおよばない」

 心の中ぁ、カラッポだ。


 なぁ、もし、世の中で、誰も自分の出したクイズに答えられなくなったと思って見てくれ。

 ひでぇ孤独だ。

 ずいぶん昔、地下格闘技のチャンピオンだった事がある。紐で首締めたって、物で殴ったってありだ。ただ、一対一で男が向かい合うってルールさえ守りゃあ。

 引退したのは、相手がみんな逃げちまったからだ。誰ももう、向かって来なくなった。病院に運ばれて、記憶喪失で治療される奴等を見たら、当然かもしれねぇ。


 結局、その警備員は技を教えてくれって言い出した。

「そんな事してどうなるんだよ?」

 同僚の制服が言った。

「弱いから、強くなりたいんですよ」

 だから言った。

「そんな事で人間、強くなったりゃしやせんよ。バカな了見を持つと、後悔の元ですよ」


 もし人生を一言で言うなら、「やれやれ」だ。

(※2004年11月25日分より転載)
posted by 久遠 at 15:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | アウトロー通信
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